* 物書き人A
感覚が冴えて、雨のように思いが降って来る。
愛、強さ、弱さ、友情、優しさ、憎しみ……
とっても素晴らしい!
私は打たれて、胸を震わせた
言葉は追いつかないもの。
思いは紡がれて糸となり、糸は織りなされて物語となる。
物書き人こそ悩める織物職人だ
――伝えたい。
だから紡ぐことを選んだのに、
黄昏の雨は流れ、やがて乾いてしまう
私は今日も、たった一人でつたない筆を進める。
震えながら
自分の無力さに恐れを抱き、
それでもなお雨粒を集めている。
世界はこんなにも素晴らしいと
それが私の選ぶ結論だから